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何志文がスペイン選手団のモデルに
[2008/05/02]





 4月28日、スペイン五輪委員会は北京五輪でスペイン選手団が着用する公式スーツ・ユニフォームを首都マドリッドで発表。情熱の国らしい真紅のスーツに身をまとい、この席上に姿を現したのが御年45歳の何志文だ。
 すでに今年1月、世界ランキングによる自動出場枠を獲得し、五輪出場を決めている何志文。五輪を直前に控えた現在でも、練習時間は1日1時間程度だという。それでいて、欧州のトップ選手のパワードライブをいとも簡単にブロックしてしまうのだから、ある意味では驚愕(きょうがく)のセンスの持ち主だ。04年アテネ五輪では決勝トーナメント1回戦でブラシュチック(ポーランド)にゲームオール9本で惜敗しているが、北京五輪ではどこまで勝ち上がるか。観客からも大きな声援を浴びるだろう。

COLUMN- 北京五輪へ外堀を埋めにかかる「李寧」

 今回の公式スーツ・ユニフォーム発表会に先立って、昨年7月にスペイン五輪委員会とオフィシャルサプライヤー契約を結んだのは、中国の「李寧(リィニン)」。これまでに中国リポートでもたびたび取り上げているが、84年ロサンゼルス五輪・体操競技で3枚の金メダルを獲得し、「体操王子」と言われた李寧氏が立ち上げた大手スポーツメーカーだ。

 3年前、アディダスやナイキと北京五輪のオフィシャルパートナーの座を争った李寧だが、05年1月にアディダスが50億円以上と言われる巨額の提示によってパートナーの権利を獲得。中国選手団ががセレモニーで着用する公式ウェアや、大会役員・ボランティアのユニフォームはアディダスが担当する。一方、ナイキもそれに対抗するべく、中国から北京五輪に出場する28競技のうち、22競技の協会とウェアのサプライヤー契約を締結した。
 母国で開催される歴史的な五輪にも関わらず、役員や選手たちは海外の有名ブランドを身にまとう。当時はまだ現在ほどの資金力がなかった李寧は、はやばやと本丸を乗っ取られてしまったのだ。

 そこで李寧は、中国国内では卓球や体操、射撃に飛び込みなど、金メダル獲得が有力視される競技のスター選手とスポンサー契約を結び、五輪ムードに乗じて「アンブッシュ・マーケティング(タダ乗り広告)」を展開。さらに中国中央電視台(CCTV)とも契約を結び、スポーツニュースに登場するキャスターや記者は、李寧のロゴが入ったジャケットやシャツを着用するようになった。これらの広告活動の成果か、中国では李寧を五輪のオフィシャルパートナーと誤認している人がほとんどなのだとか。

 一方で、李寧は他の国の五輪委員会とも、矢継ぎばやにスポンサー契約を締結。上で述べたスペイン五輪委員会に加え、すでにスイスやスウェーデンの五輪委員会とも契約している。その他にもアルゼンチンバスケットボールチーム、ベトナムサッカーチーム、そしてアメリカ卓球チームなど代表チームとの契約も数多い。
 乗っ取られたかに見えた本丸に陽動作戦をかけ、海外の五輪委員会と手を結ぶことで外堀を埋め、巨大スポーツメーカーに対抗している李寧。その株式時価総額では、すでにナイキ・アディダス・プーマに次ぐ世界第4位のスポーツブランドに成長している。

Photo:広州大会会場に設置された李寧のブース

北京で軍人だらけの卓球大会
[2008/04/24]





 4月18日、中国人民解放軍・国防大学で、「2008北京国際軍人フレンドシップ卓球大会」が行われた。海外からは、北京に駐在しているアメリカ、韓国、イタリアなど21カ国から武官・副武官をはじめ28人が参戦。昨年度大会は17カ国・23名の参加だったというから、よりインターナショナルかつ盛大(?)なものになっている。一方、中国人民解放軍からは総政治部・総後勤部・総装備部の三総部や、海・空軍、人民武装警察部隊などから多数が参戦した。

 結果は人民解放軍の精鋭たちが上位を独占したが、フレンドシップの冠名どおり、笑顔の絶えない大会になったようだ。身体の直接的なコンタクトがなく、運動量を各自で調節できる卓球は、このような軍人同士のレクリエーション大会には最適だろう。スポーツによっては、エキサイトした軍人たちの怒号が飛び交い…ということになりかねない。
 軍隊のキャンプや戦場でも、卓球は手軽な娯楽として親しまれてきた。それはトップスポーツとしての卓球とはまた異なる、優れた側面のひとつだ。

 ちなみに軍人ということでは、人民解放軍で最年少の将軍である王涛(96年アトランタ五輪銀メダリスト)や、世界ランキング1位の王皓にも参戦の資格があるが、さすがにゲストとして招かれることはなかったようだ。
 中国人民解放軍は中国共産党の軍事部門で、正確には国軍ではなく党軍だが、実質的には国軍として扱われている。軍隊ではあるが、卓球やバスケットボールをはじめとしたスポール選手、映画監督、詩人、音楽家から舞踏家まで、数多くの人材を抱える。日中文化スポーツ交流年だった昨年10月には、中国人民解放軍交響楽団が来日、東京で演奏会を開催している。

Photo:現役軍人である王皓。昨年の「拓展訓練(自己開発訓練)」で勉強中のひとコマ
Photo:…この人は本物の軍人ではありません。同じく昨年の「拓展訓練」より

◇写真提供:月刊『Pingpang世界』(中国)

五輪記念映画「国球女孩」撮影中!
[2008/04/23]





 4月16日、さまざまなスポーツの訓練基地が並ぶ山東省秦皇島市で、北京五輪を記念して製作される映画『国球女孩(グオチュウニュウハイ)』がクランクインを迎えた。『国球女孩』は直訳すると『卓球少女』。実にストレートなタイトルだ。

 この映画は行政機関である国家広電総局と国家体育総局、制作会社である北京伝奇時光文化伝媒有限公司による協同製作。○○周年などを記念して作られる「献礼片」と言われるアニバーサリーフィルムだ。

 公表されている大まかなストーリーは、それぞれ違う場所で生まれた三人の卓球を愛する少女が、さまざまな困難やライバルに立ち向かいながら国家チームに入り、チームメイトとして、そして親友として祖国のために戦いながら、相次いで「大満貫」を達成するというもの(大満貫=五輪・世界選手権・ワールドカップのタイトルを獲得すること)。「大満貫」を達成したのはこれまでに劉国梁、王楠など数えるほどしかいないのだが、3人も立て続けに達成してよいものか…。タイトルもストレートならば、ストーリーもまたサクセスストーリーの王道だ。

 卓球少女3人のうちのひとりには、清楚なルックスで映画などで売り出し中の19歳・張檬。彼女の恋のお相手には183cmでスタイル抜群の周一圍。そしてなんと国家チームのチームメイト・王暁楠(!)役として、国家チームの現役選手も出演するとのこと。タイトルに「国球」の名を冠するからにはと、ヒロインの張檬らはすでに卓球の猛特訓中だ。『国球女孩』は7月公開。五輪ムードが最高潮に達している時期とあって、意外に人気を集めるかもしれない。

Photo:「王暁楠」とは何ともニヤリとさせられるネーミング。まさか五輪代表のこの人の出演はないだろうが…

男子熱身賽 劉国梁の怒りが爆発
[2008/04/22]





 4月18日、国家女子1軍チームvs.国家男子2軍チームの一戦に続いて、午後には男子1軍チームの熱身賽(エキシビション・マッチ)が開催された。五輪代表チーム(国家紅隊)vs.若手チーム(国家藍隊)の対抗戦だ。試合結果は以下のとおり。

[国家藍隊 3−2 国家紅隊]
 馬龍 −10、−5、−4 王励勤○
○陳杞 9、9、−6、9 王皓
 邱貽可/許シン −6、−5、9、−5 王励勤/馬琳○
○張継科 6、5、−10、−9、8 馬琳
○陳杞/馬龍 4 王励勤/馬琳  ※第5試合は1ゲームのみ

 馬琳が張継科に敗れ、2−2となった時点で、決着をつける第5試合(1ゲームのみ)の試合方式を藍隊が選択。藍隊はダブルスを選び、陳杞/馬龍が王励勤/馬琳を一蹴して決着をつけた。男子2軍に敗れた女子チーム同様、五輪代表チームが結果を残すことができなかった。

 トップに出場した王励勤は、先週行われた二度の隊内試合(シングルスとダブルス)でいずれも優勝。国際試合では五分の戦績と言って良い馬龍をストレートで下し、改めて好調ぶりをアピールした。しかし、2番で出場した王皓は1・2ゲームの勝負どころでレシーブが甘くなり、強烈な3球目攻撃を誇る陳杞に主導権を握られて1−3で敗れた。対戦成績では圧倒的に有利な相手だっただけに、王皓にとっては痛恨の敗戦。王励勤が作った流れを帳消しにしてしまった。
 紅隊は4番でも、馬琳が張継科に金星を献上。第3ゲーム6−10とマッチポイントを握られてから6本連取で大逆転したものの、最終ゲームは終始リードを許す展開となった。こうなれば藍隊はダブルスのスペシャリスト・陳杞の存在がものを言う。一気に走った陳杞/馬龍がなんと9−0とリードを奪い、一方的な展開で王励勤/馬琳を下した。

 試合後の記者会見で、男子チームの劉国梁監督は2番で敗れた王皓に対し「試合の様子から見ると、五輪に出るべきなのは王皓じゃないな。陳杞だね」と酷評。「王皓のプレーは最悪だったよ。まったく試合に集中できていなかったし、覇気というものがない。あんな闘志のない目つきをして、どうやって五輪を戦えるって言うんだ??」とその怒りは収まらない。
 北京五輪が刻々と近づく中で、世界ランキング1位に君臨する王皓が見せた悪癖。劉国梁監督ら首脳陣が最も恐れているのは、それまで一度も敗れたことのない柳承敏に吹き飛ばされた、04年アテネ五輪男子シングルス決勝の再現だろう。

Photo上:国家チームの暴れん坊・陳杞が存在感を見せつけた
Photo下:劉国梁のキツいお叱りを受けた王皓。五輪まで気の抜けない日々が続きそうだ…

王楠、郭躍ら男子2軍チームに完敗!
[2008/04/21]





 4月18日、「2008茅台集団中国卓球チーム・エキシビションマッチ」が北京市の国家体育総局卓球場で行われた。「茅台集団」とは、国賓との祝宴などに供される中国随一の銘酒「茅台酒」で有名な、貴州省にある酒造会社だ。(中国リポート2007/10/25[中国卓球チーム、茅台酒で乾杯!]参照)
 隊内試合とはいえ、観客やテレビカメラを入れて、実戦さながらの緊張感で行われたこのエキシビションマッチ。女子1軍チームの試合形式は異例中の異例。なんと国家男子2軍チームとの対戦となった。07年ザグレブ大会前のエキシビションマッチでも、張怡寧が韓国の金キョン娥・朴美英らを想定して上海男子チームのカットマン・胡冰涛と対戦したことがあるが、団体戦での対戦はここ数年では記憶にない。結果は以下のとおりとなった。

[国家男子二軍隊 3−1 国家女子一軍隊]
○閻安  3−2  王楠
○方博  3−1  郭躍
 宋鴻遠 1−3  李暁霞○
○方博  3−0  王楠

 故障の張怡寧を欠いたとはいえ、なんと世界最強を誇る中国女子チームが男子の2軍チームに一蹴されてしまった。
 トップの王楠は、雰囲気に飲まれた閻安から1ゲームを先取し、第2ゲームも10−7でゲームポイントを握ったが、ここから開き直った閻安に逆転を喫した。2番に出場した郭躍も、方博にドライブの威力と回転量の差を見せつけられて完敗。
 唯一の勝利を奪ったのが、3番に出場した李暁霞。第1ゲームを8本で落としたものの、第2ゲームから男子顔負けの威力ある両ハンドドライブを連発、ジュースとなった第4ゲームも13−13から2本連取して競り勝った。しかし、4番では王楠が方博に第1・2ゲームとも逆転され、第3ゲームは凡ミスを連発して万事休す。

 女子1軍チームから2点を奪った方博は、06年アジアジュニア・カデット団体で上田仁、松平健太に連敗。その後ジュニア代表にも選ばれていない選手だ。トップで王楠を破った閻安も、07年世界ジュニア準々決勝でパイコフ(ロシア)に完敗している。
 男子選手のパワーと強力な3球目攻撃に対し、王楠のようなラリー志向の女子選手が不利になるのは確かだろう。中国女子チームが目指している「プレーの男性化」も、まだ過渡期にあるということなのか。04年世界団体ドーハ大会で張怡寧を破り、王楠をあと一歩まで追いつめた梅村礼(現文化シヤッター)のプレーを思い出さずにはいられない。

Photo上:郭躍、王楠を連破した右シェークドライブ型の方博(06年アジアジュニア)
Photo中:トップで勝利し、チームを勢いに乗せた閻安(07年世界ジュニア)
Photo下:2失点を喫した王楠。しかし落ち込んでいる暇はないだろう(07年プロツアーファイナル)

五輪代表選手 女子は1/2が中国系!!
[2008/04/18]





 次第に開幕の日が近づいてきた北京五輪。卓球競技も各大陸予選がすでに終了し、5月8〜11日の世界最終予選(於:ハンガリー・ブダペスト)を残すのみ。五輪代表枠は男女ともに64で、世界最終予選の出場枠は男女とも3。その他の61の代表枠は、国内オリンピック委員会の承認を得ていない選手がいるものの、ほぼ確定している。

  これまでに出場を決めた61人の選手のうち、中国および中国からの帰化選手が何人いるか、男女ともカウントしてみた。チャイニーズタイペイの荘智淵と黄怡樺は台湾出身で扱いが難しい選手だが、中国国家チームや超級リーグで腕を磨いたことを考慮して中国選手の中に加えた。すると、男子では16人、女子ではちょうどその倍の32人の中国系選手がいる。男子では全体の1/4、女子は全体の1/2が中国系選手なのだ。

 男子はともかく、女子の全体の1/2というのはかなり異様な数字だろう。昨年末のITTFプロツアー・グランドファイナルで出場16選手中13人が中国系選手だったのも異様だったが、各国3名までしか出場できない五輪で、ひとつの国の出身者が過半数を占めるというのは他のスポーツでは想像できない。
 加えて、世界最終予選にも男女各6名の中国系選手が出場する。参加資格が認められた女子の帖雅娜と林菱(ともに中国香港)に加え、男子の張ユク(中国香港)、ヤン・ミン(イタリア)、ワン・ツォンイ(ポーランド)、女子のミャオ・ミャオ(ニュージーランド)、バーテル(ドイツ)と強豪が揃う。また、パスポートを取得していなかったため、世界ランキングによる自動出場枠をボージック(ドイツ)に譲ったション・イェンフェイ(スペイン/世界ランキング36位)も出場者リストに入っている。

 現在、国際オリンピック委員会は肥大化した五輪の縮小を進めている。卓球の普及度を考えれば、五輪種目から外される可能性は低いが、「発展性の低い競技」と見なされる危険性は否定できないだろう。

Photo上:左シェーク異質速攻型のション・イェンフェイ。パスポートをギリギリで取得できたのか…?
Photo下:オセアニア予選では思わぬ不調で代表権獲得を逃したミャオ・ミャオ。故郷に錦を飾ることができるか

名選手の娘さんが香港ジュニアV
[2008/04/17]





 先週、帖雅娜らの出場問題に揺れた香港で2008全香港ジュニア選手権が開催された。女子15-17歳のクラスで優勝したのは16歳の管夢圓(香港U-21ランク6位)。87年世界選手権女子シングルス3位の管建華(※1)の娘さんだ。プレースタイルはカット主戦型のお母さんとは違ってシェーク攻撃型。準決勝で優勝候補の呉頴嵐(香港U-21ランク2位)との一戦を3−1で乗り切り、決勝では載欣琳(香港U-21ランク3位)を3−0で一蹴するなど、格上の選手たちを連破して優勝を飾った。また、男子の15-17歳のクラスでは、14歳ながらひとつ上のクラスに参戦した趙頌煕が優勝した。

 本土出身の選手がチームの主力で、地元出身の選手がなかなか育ってこない香港。04年アテネ五輪での李静/高礼澤の銀メダル獲得などで、Doスポーツとしての人気は高いのだが、やはり子どもには学歴を求める親が多く、長時間の練習は敬遠されてしまうようだ。現在のところ、純正・香港選手のホープは3月のアジアカップにも参加した女子の于國詩。本格的な強化練習をはじめたのは19歳からだが、現在世界ランキング133位とランキングを急上昇させている。

 ※1=管建華 グァン・ジェンホア ……1962年生まれ、山西省出身。右シェークカット主戦型。74年に山西省チームに入り、のちに荘則棟のコーチを受けて急成長。87年世界選手権女子シングルス準決勝で何智麗(小山ちれ)と対戦し、チーム首脳陣は管建華の勝利を指示したが、試合は何智麗が勝利した。81年世界選手権優勝の童玲(中国)以降、女子シングルスのタイトルに最も近づいたカット主戦型。

Photo:残念ながら娘さんの写真はありませんが…、87年世界選手権での管建華のプレー

女社長・李菊がイメージキャラクターに
[2008/04/15]





 00年シドニー五輪複金メダリストで、引退後は自ら設立した江蘇李菊体育用品有限公司の董事長でもある李菊(リ・ジュ)が、山東省青島市に新しく設立されたスポーツブランド「博鷹(bright)」のイメージキャラクターに就任。4月12日に青島市でブランドの発表会が行われた。「博鷹(bright)」を設立した青島博鷹特紡績品有限公司は日中の合弁会社。日本製の最新鋭の縫製機器を揃え、著名なスポーツブランドなど世界20カ国以上からOEM(他社ブランド製品の製造)を請け負っている。
「この青島(チンタオ)はとても好きな街。今年の夏に北京五輪のヨット競技の会場になることも知っていますよ。オリンピック期間中はこちらには来られないと思いますが、私は北京でオリンピックをサポートすることになるでしょう(李菊・出典/半島都市報)」

 かつてはシャープな体躯から繰り出す、両ハンドのカミソリドライブが武器だった李菊。抜群の運動能力を感じさせるプレースタイルだったが、もともとは体が弱く、小学校でも体育より美術のほうが得意だったそうだ。体を鍛えるために始めた卓球で世界のトップクラスまで登りつめたが、現役後半は故障との戦いだった。
 彼女のあとに張怡寧、郭炎、郭躍、李暁霞と多くのシェークドライブ型が頭角を現してきたが、38mmと40mmというボールの違いはあるにしても、李菊のドライブの切れ味は今でも鮮烈な印象を残している。…しかし、スポーツブランドのトップが、違うスポーツブランドのイメージキャラクターになって良いのだろうか。

Photo:今はちょっと貫禄がついた李菊。現役最後となった04年ドーハ大会にて

帖雅娜と林菱はなぜ五輪出場か-2
[2008/04/14]





 国際卓球連盟によって帖雅娜・林菱が五輪への直接出場権を剥奪され、張瑞の五輪予選通過が保留とされたのは、3人とも代表として出場する香港特別行政区のパスポートを持っていなかったためだ。
 香港特別行政区のパスポートを取得するためには、7年以上の在住によって「永久居民」のIDカードを取得しなければならない(IDカードは居留証で国籍とは別)。帖雅娜・林菱・張瑞の3名が中国香港に移籍したのは、2001年10月の全中国運動会の後で、「7年以上の在住」という要件に数カ月足りなかったのだ。2000年に移住した男子チームの李静と高礼澤は、昨年末に滑りこみセーフでパスポートを取得している。

 しかし、振り返ってみると2004年アテネ五輪・卓球競技の中国香港選手団で、「7年以上の在住」という要件を満たしていたのは男子の梁柱恩と女子の桑亜嬋だけだった。男子ダブルスで銀メダルを獲得した李静と高礼澤、女子シングルスに出場した帖雅娜・林菱・柳絮飛の3人は、まだ香港特別行政区のパスポートを取得していなかったにも関わらず、「(今後例外を認めない)特赦」という形で国際オリンピック委員会から出場が許可された。

 この「特赦」が今回の混乱を招いたという感は否めない。特に林菱は01年世界選手権で中国代表として2位に入り、移住から3年に満たないうちに中国香港代表として五輪に出場している。IOC憲章では、世界選手権大会などで一方の国を代表した後で国籍を変更した場合、「このような変更もしくは取得の3年後までは新しい国を代表してオリンピック競技大会に参加してはならない(第5章U規則46細則2)」。もちろんIOCの裁量によって、例外は認められるのだが、国籍取得から3年はおろか、移住してから3年も経っていない選手をなぜ「特赦」の対象にしたのだろうか。
 その上、(例外を認めない)特赦によって04年アテネ五輪に出場したことが、今回の北京五輪でも再び特赦を引き出した形になっている。なぜ特赦が特赦を呼ぶのか。張瑞にしてみれば、帖雅娜・林菱と移住した時期がほぼ同じにも関わらず、「アテネ五輪に出場していない」ことで出場資格が認められないとしたら、納得できるはずがあるまい。激戦の連続となったアジア大陸予選は、彼女にとって一体何だったのか。

 アジア大陸予選が終わった後に自動出場権を取り消した国際卓球連盟の行動も不可解だったが、今回の国際オリンピック委員会の裁定はさらに不可解で、なんとも後味が悪い。パスポート取得が五輪出場の条件で、しかも前回の出場が特例であったのなら、今回は断固として「No」ではないのか。なぜふたりが「Yes」でひとりが「No」なのか。

 香港オリンピック委員会の霍震霆(ティモシー・フォク)会長は、香港の大富豪の一族。父親の霍英東(ヘンリー・フォク/2006年没)氏は北京五輪招致にも大いに貢献した人物で、これまでに中国スポーツ界へ8億香港ドル(約121億円)以上を寄付したと言われる。もちろんそれは氏の善意によるものだが…。もし今回の出場資格問題が、香港ではなく、たとえば南太平洋の島国で発生したとしたら、IOCは部分的とはいえ「Yes」と言ったのだろうか。

Photo:04年アテネ五輪で、中国香港唯一のメダリストとなった李静/高礼澤も、本来は五輪への出場資格はなかった
Photo:張瑞、五輪出場の鍵はわずか1カ月でその手をすり抜けていった

帖雅娜と林菱はなぜ五輪出場か-1
[2008/04/12]





 トピックスでもお伝えしたが、4月10日、国際オリンピック委員会(IOC)は理事会で帖雅娜と林菱(ともに中国香港)の五輪出場資格を承認した。04年アテネ五輪にも出場していること、またパスポート取得が間近であることが主な理由だ。一方で、アジア五輪大陸予選を通過した張瑞については、出場資格が認められなかった。
 選手の五輪出場についての決定権を持つIOCが最終判断を下したことで、香港の3選手の出場問題は一応の決着を見たことになる。中国香港オリンピック委員会としては、霍震霆会長が北京でIOCのジャック・ロゲ会長に「特赦(とくしゃ)」を求めるなど、IOCへの積極的な働きかけが実った形だ。

 ハンガリーで行われる五輪最終予選に出場する帖雅娜と林菱。両選手の実力を持ってすれば予選通過はほぼ確実だ。国際卓球連盟(ITTF)から自動出場権を剥奪され、自らのブログで「非常に憤慨しているし、理解できない思い」とその心情を吐露していた帖雅娜。29歳の帖雅娜、31歳の林菱にとって、ラストチャンスとも言える大会だった北京五輪だけに、出場が認められてひと安心だろうが、チーム内でハッキリ明暗が別れては手放しでは喜べないだろう。

 それにしても、今回の中国香港選手の出場資格騒動には、多くの疑問がつきまとう。まず、香港はなぜ1997年の中国への返還後も、IOCへの加盟を続けているのだろうか。
 1952〜1996年まで、イギリスの海外領土としてIOCに加盟していた香港。現在でもイギリス領時代から培ってきた文化や風土があり、大幅な自治権を持つ特別行政区として、中国とはある程度独立した存在となっている。しかし、国内オリンピック委員会(NOC)は原則として1カ国につき1つしか認められないはずだ。台湾が「チャイニーズタイペイ」としてIOCに加盟しているのには、「正統な中国」の座を巡る長い闘争の歴史があるが、香港が「HONG KONG, CHINA(中国香港)」としてIOCに加盟を続ける必然性は感じられない。

 IOCには中国香港の他にも、イギリスなどの海外領土が個別にIOCに加盟している(英領ヴァージン諸島・アメリカ領サモアなど)。しかし、遥かに離れた本国での選手選考に加わるのが難しいこれらの島々と違い、香港は中国・広東省の一部。中国香港オリンピック委員会は、中国オリンピック委員会と一本化するのが望ましい。なにしろ中国香港の選手が優勝しても、オリンピックの表彰式で流れるのは中国の国歌「義勇軍行進曲」なのだ。加えて卓球競技では、元中国選手に対する勝利者操作の疑惑が、中国香港という存在に微妙な影を落としている。

(その2に続く)

Photo:世界最終予選に出場する帖雅娜(上)と林菱(下)。両選手が最終予選を通過すれば、これに柳絮飛を加えた中国香港女子チームは、日本女子にとっても相当な強敵になる

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